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反復・習慣流産治療

1.反復・習慣流産に対する心得

1.習慣流産に対する心得流産とは・・・?
人間が妊娠したと気付き、その後生児を得られずに22週までに妊娠を終了する事を言います。 (22週以後36週までは早産と言います。)

では、人間は何%ぐらい流産するのでしょうか?7人に1人(約15%)が妊娠と気付いた後、流産すると云われています。しかし、妊娠と気付かずに流産している場合もあります。文献的には約30%程が月経中に妊娠反応が出ているとされるものもあります。また、体外受精・胚移植後13日に血中HCG定量で妊娠反応陽性(2mIU/ml以上)でありその後流産に至る者は、一般的に約50%に認められています。

つまり相当の人が妊娠後流産に終わるというのが現状であり、その原因は殆んどが胎児の染色体異常であると考えられます。胎児の染色体異常の発生率は母体年齢と共に上昇します。20才と40才のダウン症(21トリソミー)の発生率には約10倍の差があります。
その流産を2回くり返した症例を反復流産、3回以上連続して発生した症例を習慣流産と定義しています。

一般的に1/7×1/7≒1/50、50人に1人の割で反復流産が、1/7×1/7×1/7≒1/350、350人に1人の割で習慣流産が発生する計算となります。


【1】流産を心配して来院する患者さんの傾向
A) 流産に至った病院で問題となる事

1、 妊娠した時、分娩が専門の病院・産院で診察を受ける場合が多い為、若し流産しそうな人や流産した人は、とかく敬遠されがちです。担当医から患者さんに対して無神経な言動を与えられた場合が目立ちます。
  また、その際に何故流産したのか原因を医師に問いかけても、原因不明とか解からないとかいった返答が多く、流産した事に対して患者さんが釈然としないでいる場合が殆んどです。
  最近では流産の処置をした際、絨毛組織(胎盤となる組織)の染色体を検査する事が可能です。絨毛組織の染色体は胎児の染色体と同じです。胎児に染色体異常が無かったか、是非ともご確認される事をお勧めします。流産胎児の染色体に異常があれば流産の原因がはっきりし納得がいきます。流産の処置を受けられた際に担当の医師に御相談下さい。
   
2、 普段妊娠に関して健診は、約4週間毎に行ないます。全く妊娠の経過や状態が解からないまま流産に至るケースが多く、担当した医師に対して不信感をいだいている患者さんも少なくありません。
   
3、 流産の診断をする際に、いつになっても確定診断を出さず、1週間、1週間あとのばしにする病院も多い様です。胎嚢(赤ちゃんの入っている袋)や胎児は1日約1mmの割で増大して行きます。胎嚢が20mm以上あれば必ず卵黄嚢(黄味)の横に胎児が数mmあり胎児心拍も確認出来るはずです。胎児心拍が確認出来れば1週間後には約1cm程の胎児に発育しますので胎児心拍が停止したかどうかも1週間あれば確実に診断が出来ます。故に流産の診断を早く下す事により早く流産を終了させ、次回の排卵(妊娠)をなるべく早く起こさねばなりません。人の流産率は、年齢と共に増加します。1ヶ月でも早く妊娠する事が次の妊娠の成功率を高めることになると考えます。
   
4、 切迫流産等の診断を受けても止血剤や子宮収縮抑止剤を処方し、家で 安静にしていなさいと言うだけの医師が目立ちます。どういう事が安静なのでしょうか?少なくとも安静とは、食事・排尿・排便以外は臥床(ねている)している事を言います。家で臥床していても出血が続く場合は入院して絶対安静にしていなければなりません。しかし、一般的な産院では、分娩予定者の入院を優先する為、なかなか入院させて頂けません。出血が止まらずに続くと、膣内細菌叢が変化し、子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼなどの起炎物質が発生し、子宮収縮を起こします。その結果再び流産が進行し、流早産の原因になる事が知られています。この様な例は4ヶ月以後の胎児心拍がはっきりしていて流産する場合に目立ちます。安静にしているだけで流産しなくて済んだはずの流産が比較的多い事を忘れてはいけません。
   
5、 流産処置に関しても、全く麻酔をかけずに行なったりケタラール麻酔で行なう場合が多い為、流産処置を行なう際に疼痛(痛み)が強かったり、ケタラールのせいで悪夢を見たりしてトラウマ(心の傷)をおう症例が多いと思われます。
   
6、 また、流産した後6ヶ月も避妊を勧める病院も多く見られます。次回の月経さえ発来すれば内分泌学的に全く問題がないと思います。なるべく早く妊娠する事が望ましい為、避妊期間は1周期程で良いと思います。


B) 患者さん自身で問題と思われる事
 
1、 タバコによる流産が非常に多い事を忘れてはいけません。死産率でさえも本人が喫煙している場合は10倍、夫が喫煙している場合は4倍、夫婦で喫煙している場合は40倍というデータがあります。流産を心配するのならば必ず禁煙する事が第1です。また受動喫煙も大変問題となります。家の人や職場の人にも協力して頂き、極力タバコの煙を吸わない様心がけて下さい。
   
2、 妊娠すると、とても眠くなるものです。「つわり」の一症状として眠気が上げられる程です。それは、胎児が子宮内に着床する為に母体が安静にしていて欲しいからです。にもかかわらず最近の女性は、仕事を持っている人が多く朝から晩まで男性と同様に働いています。中には 夜勤をしている人もめずらしくありません。
   
3、 日本はまだ妊娠した女性に対しての理解が余り整っている国とは思えません。そういった環境の中で無理をして妊娠生活を送っている人が目立ちます。その点は西洋の方が勝っていると思います。例えば妊婦さんがつわりの時、町を歩いていて何か食べたい物や食べられそうな物が目に入ったなら、その食べ物を売っている店で、ただでそれを食べさせてもらえる習慣のある国があります。つわりは病気ではありませんが、水分やビタミンの摂取不良は、胎児の発育に重大な影響を与えます。また、御主人も妊娠している奥様に対して、とても良くつくす傾向があります。男性が家事をしたり買い物に出かける姿は、西洋では当たり前です。私は、つわりで困っている患者さんの御主人にディズニーの「わんわん物語」を見させてあげなさいと良く言います。主人公が飼われている家の奥様が妊娠し、真冬の夜中にスイカを食べたいと言い出し、御主人が吹雪の中ガウンをまとってスイカを買いに行くシーンがあります。ご主人が奥様に「本当にスイカが食べたいのかい?」と困った顔で聞きます。すると寝室で寝ている奥様が「そうなの、ついでにチャプスイ(中華丼)もお願いよ。」と言っている様子が西洋の慣習を象徴している様に思われます。つまり西洋は女性・妊婦・子供をとても大切にする為、日本に比べて以前は、妊産婦死亡率・死産率がとても低かった事は事実です。日本では昔から「妊娠は病気でない」、「つわりは我慢しなさい、赤ちゃんの元気な証拠」、「妊娠すればお腹は良く張るものだ、気にする事はない」といった誤解が多かった事は確かです。妊娠中のトラブルの際に 仕事をしていて休めないとか、入院安静が必要なのに入院出来ないというのは流産をし易くする原因の1つと考えても過言ではありません。


【2】習慣流産治療を受ける前に気をつけておきたい事

1.流産した時の状態をしっかり覚えておく。
胎嚢の大きさや胎児の大きさ、胎児心拍があったか無かったか?
出血で始まったか何も症状が無かったか?
出来れば超音波写真をなくさずに持参して下さい。


【3】習慣流産に関して正しい医師の選び方

「ある病気に関して専門医と言える医師とは?」と聞かれた場合、少なくともその病気の患者さんを1000人以上診察・治療した事のある医師を示すと思います。

習慣流産は、妊娠350回に1回の割合で発生します。1000人の習慣流産患者を診察する為には、35万人の妊婦を診察しなければ経験出来ない疾患という事になります。年間1000例分娩のある病院に勤務していた場合350年かかる計算です。一般的な診察をしている 医師では、一生のうちに1000人の習慣流産患者を診察する事は不可能と考えられます。日本でも習慣流産で有名な一部の大学病院で1000名以上の統計を出しているに過ぎません。つまり、習慣流産の専門医は日本に殆んどいないのが現状である事を記憶しておいて下さい。
では、どんな医師が習慣流産患者にとって望ましい医師なのでしょうか?

反復・習慣流産に対する診断・治療は、既に妊娠している症例を扱う為、子供さんが出来にくい、いわゆる不妊症の治療を行うより、はるかに容易な事です。
また、反復、習慣流産に関しての診断は主に血液検査だけであり、治療のレベルも単に内服薬を処方し、場合によって注射を行う程度の簡単なものです。
つまり、それほど熟練した医者でなくても診断、治療の可能な医療だといっても過言ではありません。
手あたり次第に(中には、学会で報告されたばかりの)検査を行い、少しでも凝固系に異常値があれば、アスピリンやヘパリンなどを投与し、免疫学的異常があれば、柴苓湯(漢方薬)やトラニラスト(商品名:リザベン、キッセイ薬品)、OK-432(商品名:ピシバニール、中外製薬)などを投与するだけの容易な治療を話術巧みに行っている医療機関も目立ちます。
 
簡単な精神分析を基に妊娠中にも関わらず、その副作用も考えず精神安定剤や抗うつ剤を投与する常識はずれの医師もいます。
 
適当な治療を行ったとしても、一般的には10~15%ほどの症例が流産に至るだけですから、逆に言えば85~90%の症例は正常な経過を辿るのです。
たまたま、無意味な治療を行ったとしても偶然、正常な妊娠経過を辿っただけと考えられる場合が殆どと考えられます。
 
当然、臨床的にエビデンスの無い検査や治療は保険が適応されない為、その全てが自費となります。
自費医療に関して当局は監査することが不可能である為、現在のところ無意味な治療が見識や知識の無い医師達によって野放しで行われているのが現状です。
それらの治療は余り副作用の無いものを選んで行っている為、今の所それ程重大なトラブルは起きてはいません。
しかしながら、医療費は自費ですから医療者側の言い値で高額な医療費全てが患者さん側の負担になっている事は事実です。
 
厚生労働科学研究班のマニュアルによると「反復、習慣流産の胎児の約80%に染色体異常が認められた。」と記載された上「これは、偶発的に流産を繰り返している症例が多いことを示しています。リスク因子についての検査の結果、特段のリスクの無い方は、治療を行わなくても次回の妊娠が継続する可能性は高いと考えることが出来ます。安易に根拠のはっきりしない治療を受けるのではなく、しっかりと説明や相談対応を受け、次回の妊娠に対する不安を取り除くことが重要です。」と続いています。
治療に対して充分な見識、知識を有し、流産で困っている患者さんに誠意を持った嘘、偽りの無い医療を行える医師に診察して頂きたいものです。
 

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2.反復・習慣流産の検査について

(A)初診の方法
流産を繰り返し、当院で検査、治療をご希望の方は、検査を開始しようと思う時の月経中に来院して頂きます。月経が始まったら直ぐに当院へ電話で予約をお願い致します。
初診の際は、奥様のみの診察となります。婦人科的な超音波検査、子宮頸癌検査、子宮頸管感染症検査を行いますが、それらの検査は婦人科的な一般健診である為、保険適応で行えないことを御了承下さい。その後、今後の方針について説明の上、納得頂いた方は後日水曜か金曜の午後4頃時よりご主人様も一緒に来院して頂きご夫婦の染色体検査を行った上、午後6時頃より説明会を行います。
(B)検査の概要と費用
(1)初診時検査  月経4~5日
       経膣式超音波検査、子宮頸癌検査、子宮頸管感染症検査を行います。
                    (診察及び検査料金は自費で6,000円です。)
 
(2)夫婦流産教室(流産に関する勉強会)
月経7日頃 毎週水曜または金曜日午後6時より
    (当日の診察の状況により多少開始が遅れることがありますので御了承下さい。)
       夫婦染色体検査の採血と流産に関して約1時間の説明を予定しています。
             (料金は保険扱いで、検査料金のみ、御夫婦で20,260円です。)
 
(3)子宮卵管造影検査 月経10日前後(月経周期の長さによって多少前後します。)
       子宮卵管造影検査と血中クラミジア抗体検査を行います。
                      (料金は保険扱いで5,470円です。)
(4)排卵日の同定 月経13日~16日(月経周期の長さによって多少前後します。)
       経膣式超音波検査で卵胞の破裂する日を観察します。
                        (料金は保険扱いで370円/日です。)
 
(5)排卵後約7日の血液検査
       血中プロゲステロン       抗カルジリピンβ2GPⅠ抗体
       血中エストラジオール      ループスアンチコアグラント
       血中プロラクチン         プロテインS活性
       血中TSH              プロテインC活性
       血中遊離サイロキシン      第ⅩⅡ因子
       空腹時血糖             APTT
                               (料金は保険扱いで9,220円です)
 
その他、抗カルジオリピンIgG抗体、抗カルジオリピンIgM抗体は保険適応の関係で適宜検査します。
また、厚生労働科学研究班やESHRE(欧州ヒト生殖学会議)及びASRM(アメリカ生殖医学会議)の専門委員会の勧告により、
・栓友病に関する抗体検査:抗フォスファチジルエタノールアミン抗体、抗プロトロンビン抗体等
・サイトカインの検査:マクロファージコロニー刺激因子、NK細胞活性、TBG-β1(形質転換増殖因子)、LIF(leukemia inhibitory factor)、インターフェロン、インターロイキン等
・成長因子の検査:VEGF(vascular endothelial growth factor)、EGF(epidermal growth factor)等
の検査は、まだ研究段階のものや、既に有用性が認められていないものも有る為、当院では行っておりません。
これらの検査は再現性もなく臨床的価値も少ないだけでなく、手当たり次第に検査をされますと、全て自費になる為、医療費だけでも相当額になる事にご注意下さい。

 

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3.反復・習慣流産の原因とリスク因子とその頻度

平成24年3月[反復・習慣流産(いわゆる「不育症」)の相談対応マニュアル]より

(1) 抗リン脂質抗体 (10.2%)
        国際基準・抗カルジオリピンβ2GPⅠ複合体抗体
                     ・抗カルジオリピンIgG抗体
                     ・抗カルジオリピンIgM抗体
                     ・ループスアンチコアグラント
     上記検査のいずれか一つ以上が陽性で12週間以上の間隔をあけて再検
            し、 再度陽性である場合。

(2) 子宮形態異常 (7.8%)
(3) プロテインS 欠乏 (7.4%)
(4) 第ⅩⅡ因子欠乏 (7.2%)
(5) 甲状腺機能異常 (6.8%)
(6) 夫婦の染色体異常 (4.6%)
(7) プロテインC欠乏 (0.2%)
(8) 偶発的流産・リスク因子不明 (65.3%)
★注意を要する事
血液検査は流産した症例に流産直後に採血を行う場合が多く、果たして流産の原因を捕えているのか、流産後の血液学的な変化を捕えているのか不明です。流産の処理の結果、凝固系の変化が生じることや、抗体が産生されている可能性もある為、その事を念頭に一度陽性反応が出たとしても必ず再検をする等、慎重に対応すべきです。

 

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4.反復・習慣流産に対するリスク因子別の治療

4.夫リンパ球免疫療法について平成24年3月[反復・習慣流産(いわゆる「不育症」)の相談対応マニュアル]より




 

(1)抗リン脂質抗体症候群
                         低用量アスピリン及びヘパリン治療(5000~10000単位/日)

(2)プロテインS欠乏
                  ・妊娠10週までの流産を繰り返した症例
          低用量アスピリン治療
        ・妊娠10週以降の流・死産の既往を有する症例
          低用量アスピリン及びヘパリン治療

(3)第ⅩⅡ因子欠乏
                        低用量アスピリン及びヘパリン治療

(4)子宮形態異常
               中隔子宮は手術で中隔切除を行います。
       双角子宮に対する手術の適応は現在の所、結論が出ていません。
       弓状子宮は手術の適応はありません。

(5)甲状腺機能異常

           甲状腺機能をコントロールしてから妊娠を許可し、妊娠後も引   
           き続き治療を行います。

(6)夫婦の染色体異常

        現在の所、有効な治療法は存在しません。
        遺伝学的なカウンセリングを行います。
        体外受精を行った際の着床前診断に関しては賛否両論があります 
        が、最近の染色体解析がFISH法からアレイCGHゲノム解析に変わ
        り各段に遺伝子の解析が進んだ為、着床前診断が習慣流産の治療
        法に導入されていくものと考えます。

(7)プロテインC欠乏
        プロテインS欠乏に準ずる
 
※抗リン脂質抗体症候群について
抗リン脂質抗体症候群の臨床症状は日本人では動脈血栓症45%、静脈血栓症33%、流死産39%であります。(厚生省特定疾患疫学研究班の集計より)
動脈血栓症の中では脳梗塞が54%、静脈血栓症の中では深部静脈血栓症が51%、肺塞栓・胚梗塞が31%であり、生命維持に支障を来す疾患の発症率が高い事を忘れてはいけません。
反復・習慣流産症例が妊娠に至った後、母体の予後を充分考慮して治療を計画する必要があります。
また、抗リン脂質抗体症候群に対する妊娠禁忌の適応範囲を定め母体を保護していく事も重要な課題であると考えます。

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5.妊娠に至ったら

5.妊娠に至ったら日常生活の注意については本文[1]流産を心配して来院する患者さんの傾向 B)患者さん自身で問題と思われる事、にも示してあるように、煙草からの隔離、仕事の休業、夫の協力は欠かせません。いつでも診断書は作成できます、仕事をお持ちの方は休職し、出来ましたらご自身の実家で休養することをお勧めします。
 
※反復・習慣流産に対するTender loving careとは?
「妊娠初期からの愛情に満ちたケア」「優しさに包まれるような精神的ケア」などと解釈されています。
では、一体どういったケアが実際に必要なのでしょうか。

(A)先ず、患者さんに妊娠した事をいち早く気付かせる事が大切です。
    気付いた時に既に流産が決定している場合も少なくありません。
    排卵後10日(妊娠3週3日)で血中HCG値は20~50IU/Lに至り体内に胎児が着
    床した事を知る事ができます。妊娠している可能性のある周期は排卵後10日 
    頃を目安に受診される事をお勧めします。

(B)その後の健診は最低でも週に一度、希望があれば2~3日毎に受診されても
     構いません。
     診察の度にその次の診察の際に予測される状態を伝え、次回の診察日にそ
     の通りになった場合は充分安心して頂き、発育が思った通りに行かなかった
     場合は2~3日後に再検をします。流産の恐れが有る場合は、なるべく早く伝
     えて早期に流産を受容出来る心構えを作って頂く事が大切です。妊娠経過が
     順調な時は充分な安心を、若し流産した場合でも流産を受容する余裕を持つ
     為に早期から妊娠に気付き、流産に至るまでの過程をしっかりと認識する事
     が重要です。
     例えば、初診時(妊娠3週3日)の血中HCG値が40IU/Lだった場合10日後(妊
     娠4週6日)には血中HCG値は1000~3000IU/Lになり経膣式超音波検査で子
     宮内に胎嚢が2㎜程確認できれば安心です。予定通り発育して来ない場合
     は、胎児側の異常が原因となる流産と認識でき、流産の原因が理解され流産
     を受容し易くなるのです。

(C)妊娠6週に入れば胎嚢が10mm程になり胎嚢内に卵黄嚢が確認でき、運が良        
     ければ胎児心拍を確認する事ができます。その段階で分娩病院へ紹介致しま
     す。当院は入院設備が無い為、いざと言う時の入院先の確保や、夜間、緊急
     性を有する事態に陥った時に対応できる状態にしておかなくてはならない為で
     す。
(D)妊娠6週以降は胎児を確認しながら、胎児の座高の発育と心拍数の増加を目 
     安に診察を進めていきます。
     胎児の座高は1日1mmで成長し、初めて確認できた胎児の心拍数が100b/m
     で妊娠9週の180~190b/mをピークに分娩前が140b/mに落ち着いていく状態
     を予測診断して行くのです。染色体異常による流産は胎嚢の中に胎児が確認
     できない場合が多く、確認された胎児の心拍数に異常(除脈、頻脈、不整脈)
     があれば流産の原因は胎児の心疾患を疑うことになります。

(E)妊娠8週に至ると胎児の頭部が形成され両上下肢も確認でき体幹もはっきりし
    てきます。体幹にエコーハイな陰影を認めたり、後頸部に浮腫(NT)を認めた
    場合は胎児の染色体異常を疑い16週には躊躇する事無く羊水染色体検査を
    お勧め致します。
    採血や絨毛細胞による胎児の染色体検査は現在の所、検査が可能の医療機
    関が限られており、最終的には羊水による染色体検査で確認を行う必要があ
    る為、現段階では羊水染色体検査だけを他院に依頼しております。
    妊娠10週では流産する確率が1%以下になる為、出産に備えて中枢神経系、
    内臓、臍帯、胎盤、羊水に関して注意深く診察をします。
    なお、胎児の異常に関して、出生直後に処置を行わなくてはならない疾患以外
    は敢えてお知らせしていないのが現状です。

(F)妊娠14週で胎児の推定体重が約50gになります。16週で約100g、20週で約
    300g、22週で約500g、27週で約1000g、30週で約1500g、34週で約2000g、36週
    で約2500gと発育して行きます。発育が予定通りでない場合も胎児側に原因が
    ある事が診断可能です。

(G)胎児の推定体重が50gを超すと子宮頸管無力症による流早産も気を付けなく
    てはいけません。最低でも2週間に1回は子宮頸管長を計測する必要がありま
    す。Funneling(子宮頸管内に卵膜が羊水と共に漏斗状に陥入する状態)や
    20mm以下に短縮する際は子宮頸管無力症を疑い、妊娠16週未満は子宮頸
    管縫縮術を行い、妊娠16週以降は妊娠35週まで骨盤高位で入院臥床安静が
    必要です。

(H)出血や帯下(オリモノ)の訴えのある時の対応
    出血や帯下を感じた時は即座に診察をする事です。
    出血の状態や帯下の細菌学的検査に加え子宮内の血腫の有無を確かめる事
    が重要です。外出血が少なくても内出血が多い場合は子宮収縮が起きたり、
    感染による絨毛羊膜炎による流産もしばしば経験するからです。
    当然入院が必要になる場合もあります。
    子宮収縮抑制剤(塩酸ピペリドレート:商品名ダクチル、塩酸リトドリン:商品名
    ウテメリン)、黄体ホルモン製剤(プロゲホルモン筋注、ジドロゲステロン:商品
    名デュファストン錠)を投与します。
    止血剤に関して「産婦人科診療ガイドラインー産科編2011」より「トラネキサム
    酸(商品名:トランサミン)やカルバゾクロムスルホン酸ナトリウム水和物(商品
    名:アドナ)は、切迫流産に対する健康保険の適応は無く、自覚症状改善ある
    いは流産予防を支持する報告は少ない。・・・トラネキサム酸は線溶抑制薬で
    あり、・・・投与する場合は血栓症発症に注意する。」と勧告されています。特に
    妊娠悪阻により脱水の症例や抗リン脂質抗体症候群等の栓友病の症例には
    投与すべきではないと考えます。
    逆に抗凝固剤(アスピリンやヘパリン)の投与は出血を増長し流産症状を悪化
    させる可能性が有りますので闇雲に使用してはいけません。
    細菌性の膣炎による絨毛羊膜炎も流早産の原因として重要です。
    現在の細菌性膣炎に対する治療は、B群溶血性連鎖球菌の感染が認められ
    た場合は抗生剤で積極的に除菌を行っています。その他、ガードネレラバギナ
    ーリス、コリネバクテリウム等の感染症に対して除菌は行わず、乳酸菌製剤を
    投与し膣内細菌叢の正常化を目指す治療を行い良好な結果が得られていま
    す。

(I)下腹痛を感じる場合の対応
    妊娠が成立しただけで、受精卵が着床している臓器は軽度の炎症性変化を来
    たす為、着床部の痛みを感じます。また血管も怒張充血する為、充血による痛
    さも加わります。
    また、妊娠6週頃より散発性に子宮収縮を認める事があり、これをBraxton   
    Hicks contraction(ブラクストン・ヒックス収縮)と呼びます。
    多くの場合は生理的な子宮収縮の範疇として取扱っています。
    しかし、精神的な緊張状態や局所の機械的刺激等により収縮回数が増加する
    事も認めます。
    超音波検査では局所性の子宮筋の収縮を認めるため子宮筋腫の様な画像所
    見を認めます。妊娠前に子宮筋腫を認めなかった症例が妊娠中に突然筋腫
    様画像所見を認めた場合はブラクストン・ヒックス収縮を疑います。子宮筋腫
    の様な収縮像を頻回意に認める場合は流早産も注意して診察する必要があり
    ます。
    その他、体位変換の際の足の付け根辺りの引き攣れによる下腹痛は妊娠中
    によく耳にする訴えです。
    だからと言って、反復・習慣流産の症例は下腹痛を放置する事はできません。
    何故なら腹痛が心配で精神不安定に陥る場合が多いからです。
    例え子宮収縮抑制剤を服用していたとしても妊娠性変化による腹痛は治りま
    せん。
    精神的な苦痛を取り除く為には、やはり頻回に診察をし、胎児の無事を確認す
    る以外に方法は無いのです。
    初回妊娠の場合、下腹痛は感じますが子宮収縮感を自覚認識する事は困難
    です。子宮が収縮する感覚は一度陣痛を味わってみないと、なかなか自分で
    は識別できないものです。
    流早産の原因に子宮収縮が問題となる事は当然です。
    子宮頸管の状態を頻回に観察し、子宮の膨らみが解る時期になればトコモニ
    ター(子宮収縮と胎児心拍を経時的に観察する医療機械)で観察すれば、子宮
    収縮を他覚的に捕え、視診や触診で子宮収縮を自覚できる様に指導する事も
    可能です。
    ご自身が子宮収縮を診断できるようになれば自ずと流早産のリスクが軽減で
    きます。

(J)その他の対応
     反復・習慣流産の妊婦さんは、とにかく赤ちゃんが元気で育っているか心配で
     仕方ない訳ですから、いつでも診察をして欲しいと思っています。
     以前は長く入院し毎日の様に診察ができました。しかし、最近は入院費の保
     険点数との関係で長期の入院が困難になっています。
     とにかく、365日毎日診察ができる体制を取らなくてはいけません。
     当院は、休日でも毎朝8時30分から診察をしています。御主人と一緒に直接ク
     リニクを受診してください。(尚、夏休みと年末年始は場合によっては、クリニク
     を留守にする事もあります。その際は信頼の於ける医師に診察を依頼するこ
     ともありますので宜しく御高配下さい。)
     時間外に、出血の量が月経量より増加したり、規則的に子宮収縮感を感じる
     場合や、水様帯下を感じた場合は即座に分娩予約を取っている病院を受診し
     て下さい。
     それ以外の症状の際は横になって臥床し、次の日の朝8時30分に当院を受診
      して頂いています。
     「赤ちゃんが流産した夢を見た」「つわりが楽になった」「病院の方で火事が有
     ったから病院が心配だ」等と言ってクリニクを訪れる患者さんも少なくありませ
     ん。
     どの様な理由でも当院は喜んで診察をさせていて抱いております。

(K)Tender loving careとは

  ・ただ単に患者さんに優しくするだけで無く、医療側が充分な医学知識を以って      
   医療に臨むこと。
  ・いつでも患者さんが診察して欲しいと思う時に診察できる体制を取っておくこ  
   と。
  ・患者さんが希望した時は躊躇することなく診察を受け入れること。
  ・嘘、偽りの無い医療を行うこと。
  ・検査も治療も保険適応範囲で必要最小限の事を行うこと。
  ・余り検査や治療にお金がかからない様に心掛けること。
 

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6.最後に

現在、流産の原因は胎児側の原因が殆どであることがほぼ判明しています。つまり、母体側の疾患が原因で流産を繰り返す症例は僅かであることを記憶しておいて下さい。
過去に習慣流産の原因として明らかに認められているものは、Rh(抗D)不適合妊娠と夫婦の染色体異常(転座保因者)のみです。
 
習慣流産の原因として一部の母体の栓友病(抗リン脂質抗体陽性、プロテインS・C欠乏、第ⅩⅡ因子欠乏等)が考えられていますが、本文でも述べた様に栓友病の検査は少なくとも12週の間隔をあけて再検する必要があります。
 
習慣流産症例に膠原病の中の抗リン脂質抗体の陽性者が認められるのは事実ですが、抗リン脂質抗体陽性者でも何の問題もなく妊娠分娩している症例も数多く存在していることは忘れてはいけません。私は何例もの抗リン脂質抗体陽性者の無治療での分娩を経験しています。
正常な妊娠中の症例でも抗リン脂質抗体は陽性の症例は存在しているのです。
 
多嚢胞卵巣症候群も流産率が高いことも周知の事実です。
多嚢胞卵巣症候群の症例は肥満が多く、特に肥満と流産の因果関係は統計学的にも証明されています。
流産の治療をする前に体重をできる限り標準体重に近づけておきたいものです。
 
現在行われている習慣流産治療について
(1)その原因が解明され治療法が確立されているもの。
Rh(抗D)不適合妊娠:抗Dグロブリン療法
(2)その原因と治療の有用性が示唆され、ある程度の治療が可能なもの。
抗リン脂質抗体症候群などの栓友病:低用量アスピリン、ヘパリン療法
(3)その原因は究明されるもまだ治療法が確立していないもの。
夫婦の染色体異常(転座保因者など)
(4)まだ研究段階のもの
抗フォスファチジルエタノールアミン抗体:低用量アスピリン、ヘパリン治療
(5)その原因も治療も全くエビデンスがなく無意味と考えられているもの。
(反って副作用が危険である為、学会では注意を喚起しているものもある。)
・夫婦の免疫学的不均衡、母体細胞性免疫(サイトカイン)の異常:-夫リンパ球免疫治療、OK-432(商品名:ピシバニール、中外製薬)治療、免疫グロブリン(大量γグロブリンなど)治療、グルココルチコイド(ステロイド剤)治療、TBG-β1遊離抑制剤(トラニラスト、商品名:リザベン、キッセイ薬品)治療、その他:末梢単核球移植治療、抗TNFα治療、柴苓湯、大豆イソフラボンなど。
・精神的不安状態:緩和精神安定剤治療(ロフラブ酸エチル、商品名:メイラックス、Meiji Seikaファルマ)、抗うつ剤(フルボキサシンマレイン酸塩、商品名:デプロメール、Meiji Seikaファルマ)
 
不妊治療を併設している医療機関では不妊治療の結果、流産を繰り返す症例をしばしば経験しますが、それを以って習慣流産と見なすか如何かについては考慮が必要です。
発育不良胚を移植して流産を繰り返した症例に対しても、習慣流産と称しアスピリンや夫リンパ球免疫、ピシバニール等を投与している施設も多々見受けます。
体外受精を行う我々は、移植した胚の状態を参考に、胚移植を行った後12~13日の血中HCGを定量する事によって流産を予測することが可能です。
良好な胚を移植し移植後12~13日の血中HCG値が100mIU/ml以上のものは流産率が数%ですからその様な状態でも流産を繰り返す場合に限って、習慣流産の診断基準に則って検査・治療を進めることが必要です。
 
流産を繰り返している症例も年齢が進むにつれ不妊症に移行していく症例も少なくありません。
母体の年齢と流産とは相関関係にある為、少しでも早く発育の良い受精卵を獲得することが望まれます。
その為に習慣流産症例に対しても早期の体外受精治療を行い沢山の良好な受精卵を早期に獲得することも習慣流産の治療法として列記される日も近いものと考えます。
 
妊娠の予後は受精する前の卵子・精子の段階より決まっています。妊娠してから治療を行っても手遅れです。
習慣流産でお悩みの方は、是非とも体外受精を含めた不妊治療を行うことが可能な医療機関で、卵子・精子の段階からの治療を受け、妊娠初期から直ぐに分娩施設へ転院するのではなく、その後も注意深く妊娠経過を診察できる医療機関に受診されることをお勧めします。
 

 

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